突然の父の事故死で、家族は騒然とし深い悲しみに包まれました。
葬儀に関わる諸々のことも大変でしたが、その中でも私にとって印象深かったのは、お金に関することでした。
悲しみに暮れている時は、なかなか余裕がありませんが、人が亡くなったら、年金の手続き・銀行口座の手続き・生命保険の手続きが必須という認識を持っていなければいけないのですね。
残念なことに私の実家は経済的にあまり余裕がなく、父の預貯金も僅かでした。そして、長男の私も殆ど貯金がありませんでした。
まだ60才になったばかりの父が亡くなることなど想像もしていなかったので、
ショックと悲しみが先でしたが、その次に「葬儀の費用は大丈夫だろうか?」という心配をしました。
銀行口座や公共料金について
人が亡くなると銀行口座が凍結されて現金を引き出せなくなると聞いていたので完全に諦めていましたが、叔父に「死亡したら即凍結されるというわけではなく金融機関が知った時点で凍結するから、試しに引き出してみろ。ただし、相続のことで後々揉めないよう引き出し額がわかるように通帳に記帳しておき、出費の詳細とともに説明できるようにしておけ」と言われ、葬儀の手続きをする直前にATMに行きましたら、無事に引き出せました。これは後に相続の手続きの際に母と弟に経費の明細と共に提示し、事なきを得ました。
葬儀というのは費用もかかりますがお香典という収入もありますので、この時引き出したものと合わせて葬儀社への支払いに充てました。
また、もしも個人の口座が公共料金などの引き落とし口座になっているのなら、できるだけ速やかに名義変更や引き落とし口座変更の手続きをしないと滞納扱いになりますので、注意が必要です。
生命保険について
生命保険に入っていることは知っていたにもかかわらず、保険証書がどこに仕舞ってあるのかわからず、母の記憶も不確かでしたので、机の引き出しを引っかき回してよくやく見つけました。
申請には保険証書・死亡診断書・死亡保険請求書・本人の住民票・受取人の戸籍謄本と印鑑証明書が必要で、死亡診断書はすぐに書いてもらえることもあれば、2〜3週間かかることも珍しくないそうなのです。父のも一週間以上かかりましたので、途中で問い合わせの電話をしました。
保険金の支払いは、揃えた書類が保険会社に届いてから5〜7日程度で(土日・祝日は除く)入金されるらしいのですが、それはあくまで目安で、時間のかかる例もあるようです。ごく稀とはいえ保険殺人などの可能性が疑われることもあり、そうなると審査に日数がかかりそうです。
葬儀費用のほとんどを生命保険金で賄おうと思っている人も多いと思いますが、場合によっては支払いに間に合わない事もあると認識しておいた方がよさそうです。
ところで、実は頂いたお香典に僅かな貯蓄を足して、なんとか葬儀費用を支払えましたが、もし足りなかったら・・・と不安に思っていたところ、葬儀社さんからクレジットカードの分割払いもあると聞いて、心底ほっとしました。
お布施のこと
今回ギリギリ現金支払いできたのは、お布施の件が大きいと思います。
実は、もう一つ大きな心配事がありました。父の生家は遠方の地方で、こちらでお付き合いのあるお寺がなく、どうしたものかと困っていました。
そこでまた、葬儀社さんに助けられました。
提携されている僧侶を紹介してくださり、しかもなかなか尋ね辛く不安なお布施も定額で(僧侶の交通費・御膳料・心づけ等含む)、低価格だったのです。これが、よく聞く全国平均並みの金額(50万円近いとか)であったら、支払いに困っていたに違いありません。
母は、昔よりも消費者目線のシステムが増えて親切だと驚いていました。確かに、葬儀といえば身内の死に関わることで余裕もなく、不透明で多額な金銭や古いしきたりで負担が多大なのが常だったのが、最近は素人でもネット検索で知識も得られますし、消費者に親切な葬儀社を選ぶことができます。今回お世話になった葬儀社さんにも、本当に色々支えていただきました。
母の時はここまで慌てなくても済むように、色々心準備しなければと思います。