肺の疾患で自宅療養していた父が74才で亡くなった時、母が「どうしても自宅で見送りたい」と言ったので、親戚に紹介してもらった地元の小さな葬儀社に相談したところ、快くバックアップしてくれましたので、特にトラブルもなく済ませることができました。
とはいえ、それは家族の多大な協力と町内会の人々の手助けを頂けたからに過ぎません。
手続きや流れは一般葬とほぼ同様。通夜や葬儀の会場が自宅という形式です。
家はそれほど大きくないものの玄関を入ってすぐのリビングが16畳ほどあり、
その奥に父が晩年寝ていた和室。そしてその周りに庭があったため、小さい会場のように使うことができました。縁側の位置に焼香台を置き、ご会葬の方々には門から庭に入って頂きお焼香して頂きました。
★家族の協力と迅速な対応が必須
葬儀社への連絡の後、私と妻が最初にしたのは、父の部屋の大きな電動式ベッドの解体と移動です。その直後に葬儀社の人が家具や酸素ボンベを隠すように幕を張ってくれました。
翌日が友引だったので、通夜は翌々日と決まりましたので、その間準備に励みました。私と姉が葬儀社さんと細かい打ち合わせをしている間に妻がご近所に通夜振る舞い用のグラスや湯飲み茶碗、座布団などを借りに行き、大きなテーブルを二つ置き、準備していました。通夜振る舞いの飲食に関しては妻と姉が葬儀社と打ち合わせし、価格や数量を決めていました。
★誰に知らせるか
父の兄弟は亡くなっていましたが、母の兄弟姉妹は5人存命で皆60〜70代でしたので知らせました。ご近所の友人知人は、動揺する母から父と親しかった人の名前を聞き住所録を預かって電話連絡をしました。
息子である私は都内の会社に勤めていたので、会社の方にも連絡しました(東京から一時間半はかかるので参列者は殆ど無いだろうと思っていたら、上司や部下が複数来てくれたので、驚きました)。
この「誰に知らせるか」というのは、意外と軽視できない問題です。
今87才の母が亡くなったとしたら・・・息子の私は彼女の交友関係のごく一部しか知らないし、その友人知人も近年次々亡くなっていると聞きますので、父の時のようにはいかないと思うのです。生前に聞いておいたとしても、年月が経つと、本人も周囲も状況が変わります。
今「母さんはどうしたい?」と聞いても、この数年で急激に認知症が進んでしまった母には判断はできそうにありません。
★見積もりの総費用に注意
自宅での通夜・葬儀とはいえ、祭壇や納棺一式、寝台車や霊柩車、通夜振る舞いや会葬返礼品等々・・・一般葬とほぼ同じ形式でしたので、費用も大きく変わらなかったように記憶しています。
ところで葬儀社の見積もりで注意しておくべきなのは、固定費用と変動費用があるということです。会葬礼状や返礼品、飲食費は人数によって金額は変動しますので、最初に単価と個数を把握しておくことをお勧めします。
また、料理の価格も迷うところです。あまり豪勢でなくてもよいと思いますが、あまり貧相な感じにならない方が無難かもしれません。我が家では、通夜振る舞いの料理は、寿司が見栄えするようなコースにしたので、大皿で煮物や焼き物などと取り分ける形にし、量は予想人数の半分程度にしてみました。ご近所の親しい人や親戚は長居できますが、地方ですから自動車での移動の人も多く、あまり飲んだり食べたりせずに少し手をつけて帰られる例が多かったので、全員分は必要ありませんでした。
★受付のお願いその他
受付は、会社にお勤めの人なら社内の人に受付をお願いすることもできますし、リタイアなさった人は町内会に頼むこともできます。それができない場合も、葬儀社さんに依頼すればいいことです。
我が家の場合、たまたま父が町内会役員を歴任していた関係で、町内の方々が受付をしてくださり、通夜の食事は、母が懇意にしていたご近所の女性が複数立ち働いてくださいました。この依頼は、早めに人選しお願いしてください。
信頼できる葬儀社を
今考えると、あの数日の詳細は思い出せない部分も多く、どうやって乗り切ったのか・・・と不思議に思うことも多々あります。
一つ言えることは、親戚に紹介された葬儀社さんのお陰が大きいということ。小さい会社でしたが経験豊富で、依頼主の希望になるべく近づけて、その時その時に必要な手配や費用について的確な判断をしてくれ、迅速で温かい対応をしてくださっていました。
喪主などというのは人生のうちに数回経験するかしないかだと思うので、あれもこれも迷うことだらけ。ぜひご一家のライフスタイルに合う、信頼できる葬儀社さんを見つけておかれることをお勧めします。