枕飾りについて
人が亡くなった時は、通夜までの間は自宅に遺体を安置しておくことになります。北枕で寝かせた死者の枕元には枕飾りを整えるのが一般的なやり方です。葬儀社に頼めば全部やってくれますが、だいたい1~3万円程度の費用がかかります。
人が亡くなった際に用意する枕飾りについて
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通夜までの間に必要になることについて
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飾りを準備するためにかかる費用について
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キリスト教と神道の枕飾りの様式について
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仏式の場合はどうするのか
★通夜までの間に必要になることについて
昔は住み慣れた自宅で最期の時を迎える人がたくさんいましたが、今は病院で亡くなる人の方が多くなっています。亡くなる瞬間に医師が立ち会っていなかった場合は遺体を行政解剖に付す決まりになっているため、病院で最期の時を迎えるようにした方が面倒な思いをせずに済むという事情もあります。病院で亡くなった人の遺体は、ひとまず病院の霊安室に安置されます。ただし、霊安室はあくまでも一時的な遺体安置場所にすぎませんので、できるだけ速やかに葬儀社に依頼し、遺体を自宅に搬送する必要があります。自宅に運び込まれた故人の遺体は、薄い敷布団の上に北枕になるように寝かせられます。そして、遺体の上に掛け布団を掛け、顔に白い布をかぶせます。その上で、遺体の枕元に枕飾りを整えるようにするのが一般的な流れになります。なぜそのような飾りが必要になるのかというと、通夜までの間は自宅が臨時の礼拝施設になるためです。通夜よりも前に弔問に駆けつける人がいますので、それらの人が礼拝できるようにしておく必要があるのです。
★飾りを準備するためにかかる費用について
枕飾りを整える作業は、葬儀社のスタッフが全部行ってくれます。ただしその分の費用が発生しますので、あまり予算に余裕がない場合は遺族が自分で整えるという方法を取ることもできます。一概に言うことはできませんが、業者に依頼した場合にかかる費用の目安は、だいたい1~3万円程度です。業者に頼む場合は、事前に料金を確認してから頼むようにする必要がありますが、あまり時間的な余裕はありません。自分で用意する場合は、まず白木の台や白い大きな布を準備する必要があります。また、その台の上に並べる祭祀具も用意しなくてはなりません。これらの物が既に自宅にある場合であればよいですが、全部買い揃えるということになると、時間や費用が結構かかります。節約するために自分で準備することにした結果、業者に頼む場合よりも高くついてしまうことが実際によくあります。この時期は他にもやらなくてはならないことがたくさんありますので、枕飾りの準備は業者に任せてしまう方が賢明です。
★キリスト教と神道の枕飾りの様式について
枕飾りの様式は、宗教ごとに異なっています。キリスト教式の場合は、本来、死者の枕元にこのような祭壇を設ける習慣はありません。ただし、仏式や神式の葬儀を見慣れている日本人の目からすると、死者の枕元に何も置かれていないという状態はかえって不自然に映ります。そのため、白い台を用意して、聖書や十字架、火を灯した燭台、白い花などを飾ることが多いです。プロテスタントの場合はこれだけのことが多いですが、カトリックの場合は、それらの他にパンや水、聖油つぼを飾ることが多いです。 神道の場合は、白木の台ではなく、八足机を用意します。その場合は、白い布を机にかぶせたりはしません。ただし、八足机がない場合は、小机に白い布をかぶせた物を使用します。そして、その台の上に、三方と花瓶を載せ、花瓶には榊をさします。三方の中には、お神酒や洗米、水、塩などをお供えします。その他に、普段の食事に準じた物をお供えする場合もあります。
★仏式の場合はどうするのか
日本人の場合、仏式で葬儀を営む人が大半ですので、仏式の枕飾りが整えられるケースが一番多くなっています。仏式の場合は、台の上に香炉や鈴、火を灯した燭台、花瓶、一膳飯、水、枕団子などを並べます。花瓶にはしきみを飾るのが正式なやり方とされていますが、しきみを用意することができない場合は、菊や百合、水仙などで構いません。また、一膳飯には2本の箸を刺しておきます。ちなみに、香炉に立てる線香の数は6本が正式なものとされていますが、実際には略して1本だけにしているケースが大半です。気をつける必要があるのが、宗派による違いです。一口に仏式の葬儀と言っても、宗派によってやり方に細かな違いが生じています。最近は、そのようなことを気にしない人が多くなってきましたので、あまり神経質になりすぎる必要はありません。ただし、浄土真宗の場合は、鈴や水、枕飯を飾らないのが一般的です。