北海道の葬儀の風習について
○普通の人でも新聞に訃報が載る
札幌市などの大都市では、家族葬が急激に増えているようです。
かつては町内会が葬儀を取り仕切り、町内会長が葬儀委員長になり、故人の略歴やひととなりを紹介していましたが、現在では町内会が手伝う場面も少なくなり、故人の略歴も葬儀社の司会者が紹介をしています。
死亡通知に新聞の訃報広告を利用することもあります。
地元紙である北海道新聞には、一般の方の訃報広告が並ぶ専用のページが設けられていて、希望によっては訃報の折り込みチラシを入れることもあるそうです。
中には、町内会の放送で訃報と葬儀日程が放送されることもあるようです。
知らない人はどんなイベントが始まるのかと驚くかも知れません。
○火葬の順番が逆
北海道では道内でも場所によって火葬の順番が違います。
根室地方では通夜の後、火葬を行い遺骨で葬儀をするようです。
通夜も仮通夜、本通夜の2回行うところもあります。
通常とは逆なので、違和感があるかもしれませんが、前火葬といって関東の一部でも見られる風習です。
また、道南など一部の地域では、お葬式の流れが火葬、通夜、葬儀告別式というのが一般的なようです。
通夜の前に茶毘に伏して、通夜・葬儀告別式は遺骨で執り行うというわけです。
北海道は面積が広く、雪が深い地方なので時期によっては親戚が容易に集まれない場合もあります。
そのようなところから通夜や火葬の順番が各地で違うのかもしれません。
○香典に領収書
北海道の葬儀に初めて参列した方が必ず驚くのは、香典に「領収書」が出ることです。
受付で香典を出すと、担当者がその場で中身を確認し、すぐさま領収書を発行してくれます。
参列者の方も、香典袋にあらかじめ住所・氏名・金額を書いて持っていきますから、改めて記帳はしないのが一般的です。
また、香典返しもなく、会葬お礼には海苔・お茶など300円~1,000円程度の粗品やクオカード・図書カードなどの金券が用いられます。
こうした葬儀の特徴は、合理的でお互い様の精神を持つと言われる道民性の表れかもしれません。
○供花を色とりどり
祭壇の両脇にある生花は、菊の花を使用することが多いようですが、北海道ではカラフルな花を使用します。
お別れのお花として告別式に使用しますが、お花が余った場合親族などに配ります。
缶詰や果物のお供え物も沢山ある場合、皆で分けます。
キリスト教の葬儀では参列者に余ったお花を配ることもありますが、仏式の葬儀では珍しい光景です。