鹿児島の葬儀の風習について
鹿児島県は葬儀の前に火葬する「前火葬」と葬儀の後で出棺し、火葬する「後火葬」が混在しています。故人のお顔を見るために参列してもお目にかかれない場合があるので、事前に確認することをおすすめします。
また、火葬後、当日お墓に納骨するのが一般的です。
収骨後、菩提寺に行き、僧侶から読経を頂き家に帰ります。
この時、お茶菓子程度のもてなしで簡単な飲食をします。
「三日参り」と呼ばれる法事で一般的には初七日にあたる行為です。
○一膳飯がじつの飯
故人が布団に安置されると、お線香の用意をして一膳飯と枕団子をお供えしますが、鹿児島県ではこのときお供えする一膳飯を『じつの飯』と呼びます。
『じつの飯』の「じつ」というのは、「直(じき)」に由来していて、亡くなった後すぐに炊くご飯ということからこう呼ばれているようです。
『じつの飯』には、故人が愛用していた箸をまっすぐに2本立てます。
また、枕机には、お茶かお水をお供えしますが、一部の地域では味噌汁を供えるところもあります。
鹿児島県の県南地域では、焼酎で「別れの杯」を交わす風習も見られます。
故人に少量の焼酎をふりかけることもあるようです。
○出棺前の別れ飯
一部の地域では、出棺前に『別れ飯』を食べ、北部の方では参列者にもこの『別れ飯』を振る舞うことがあります。
ただ、最近では火葬場で食事を取るため、省略する傾向が強いそうです。
○棺を担ぐ人は肩に「いろ」をかける
主に郊外の地域でのしきたりですが、出棺時に棺を担ぐ人が「いろ」と呼ばれる白い布を肩にかけて霊柩車へ乗せ、火葬場に向かいます。
柩は縁側から出すことが多く、棺のあった座敷をほうきではく習慣があります。
島しょ部では、遺族が白い布を身に付けることによって、故人と同じ格好をし、「あの世へ旅立つ前までは、私たちも共に見送りますが、そこから先はお1人で旅立って下さい」という意味が込められています。
○通夜見舞いに最中
鹿児島県の一部の地域では、通夜の際、香典とは別に通夜見舞いを持参する場合があります。この通夜見舞いは、他県の通夜見舞いと同じくお菓子や果物を持参しますが、鹿児島県では最中を持参することも多いようです。
この最中は、鹿児島弁のもうなか(もうない)からきているという説もあるようです。