今では葬式の方法は多様化していて、家族葬など小さな葬式が多くなっています。それに伴って、今までは弔意や葬式の費用の負担の意味合いから行われてきた香典や供物を辞退するケースも増えており、対処方法に困る人も多くなっています。
こちらでは参列する側と喪主側でとるべき対応について取り上げます。喪主側の対応では、辞退したのに供物を持ってこられたケースや辞退する場合の文例についても取り上げますので、参考にしてください。
遺族の方から供物を辞退された場合、無理に渡す必要はありません。辞退の理由は様々ですが、故人の意向であったり、遺族や会葬者の負担を減らすことなどが考えられます。それで、辞退したのに無理にお渡ししてしまうと負担が増すだけでなく、故人の意向にも反することになるため、マナー違反を避ける意味でも控えるほうが良いでしょう。
どうしても弔意を表したいと思う場合は、事前に遺族の方に確認したり、後で読み返せる弔電やお手紙などを送る方法も検討できます。ただし弔電も辞退される場合があるため注意が必要です。また、一般の参列者と親族では異なるアナウンスをしている場合があります。特に大きな葬儀会社などを使用せず、家族葬的なコンパクトな葬儀をしている場合はそのようなケースが考えられるため、受付などでは渡さずに、控室など一般の参列者がいない場所で直接渡すほうが良いかもしれません。
喪主側が参列者に対して供物を辞退することを伝えるタイミングは、訃報の連絡をする場合が一番良いでしょう。参列を希望する方は、訃報の通知があるとすぐに供花や供物の手配を行うことも多く、一度手配してしまうとキャンセルなどが厳しい場合が多いので、早いタイミングでのアナウンスが親切につながります。
香典の場合も同様で、香典袋の用意をするなど参列者の準備にも影響するため、早めの連絡が大切になります。辞退する旨を通知する方法は、親しい方や近所の方であれば口頭で、会社などには紙面など様々な形となると思いますが、供物をお断りすることだけでなく、お断りする理由も一緒に添えて伝えることで納得を得やすくなります。その後のお付き合いにも影響する場合があるので、理由をきちんと説明することがポイントです。
きちんと通知したにも関わらず、供物を辞退したのに持ってこられてしまった場合ですが、参列した方としてはどうしても何かの形で故人をしのびたいという願いでされたことなので、無下に断ることはせず、参列者の気持ちに対する感謝を表すことは大切です。
そのような方は、遺族や会葬者が困ることを予想せずに、良かれと思って行動されているからです。また、家族葬など最近の葬式のスタイルになれていないため、香典や供物・供花などを行う以外の弔意の表し方がわからない参列者もいることを理解する必要もあります。なお、持ってこられたもののお返しは不要という意向が示されたとしても、故人をしのぶために努力してくださったことを考えて、お送りするほうが良いでしょう。そして弔電の返答は不要とされていますが、感謝の意味を込めて手紙などでお礼をすることができます。
家族葬などのため、香典や供物・供花を辞退することをメールや書面で通知する場合は、故人と親しくしていた方と会社など仕事のつながりがあった方では文面のスタイルが若干異なります。
それでもポイントとなるのは、故人の遺志、故人とともに遺族の意思であることで、それが伝わる内容とします。文例としては次のような記載ができます。
「通夜・葬儀に関しましては、故人の生前の希望により家族葬で執り行います。誠に勝手ではございますが、故人の遺志により、香典並びにご供花、御供え物なども辞退させていただきます。皆様にはご不便をおかけしますが、ご容赦いただきますようお願い申し上げます。」
なお、文例にある「香典並びにご供花、御供え物など」の部分は「ご厚意」と記載することも可能です。