お葬式の形態も時代と共に様変わりして、ここ数年では家族とごく親しい親族や友人だけで行う家族葬という形を採る家庭が急激に増えています。家族葬は形式にとらわれず、演出も可能なため人気を呼んでいますが、一般的な弔問客を招かないという点で気をつけておかなければならないポイントもあるということを是非覚えておくようにしましょう。
中でも、葬儀は近親者のみで行う旨の知らせ方というのは、最も重要な点です。さもないと事後報告扱いとなりトラブルに発展したり、式の間に突然参列者が現れて戸惑うということになるかもしれません。
訃報というのは、いつどこで飛び込んでくるのかなかなか見当がつきにくいものです。万が一会社にいる間に、身内の不幸が訪れたら、まずは上司に口頭でその旨を伝えるようにしましょう。周りに気を遣って欲しくなかったり、プライバシーを守りたいと思うかもしれませんが、忌引き証明を提出することで忌引き休暇を取得することが出来ます。証明は、葬儀社に相談してください。また、会社によっては弔慰金を支給しているところもあり、これは香典とは異なりお返しが不要なものです。
そして重要な点は、家族葬と決まったらいったん不幸があったことを口頭で言ったとしても、必ず詳細をメールにて伝えるということです。メールならばすぐに相手に伝わりますので、事後報告ということにはならなくて済みます。それに弔問や香典、花等を辞退することで葬儀の手間を簡潔に済ませられ、その分近親者のみで故人を偲び、ゆっくりとお別れする時間を取ることが実現出来ます。
さて、葬儀は家族葬で行うことが決まったら、まず最初に直属の上司にメールを送るというのが知らせ方の基本です。直属の上司が事後報告というのは、トラブルの元となるかもしれません。派遣で仕事をしているという際には、派遣先の責任者に伝えることも必要です。知らせ方も重要ですが、知らせる内容にも留意しなければなりません。
きちんと近親者のみで執り行う家族葬である旨を記し、参列を遠慮していただき、香典やお花等も辞退することを簡潔に且つ丁重に書くようにましょう。この部分を曖昧にしておくと、香典を送ってきたり花が贈られてくる場合があるので、気をつけてください。
また、取引先等の関係者には、数日の間家族葬のため不在になることと、その間の担当者を明記するようにすれば先方に迷惑が掛かりません。
会社にメールで家族葬の連絡をする際には、要点を簡潔に書くことが重要です。次のような例文を参考に、考えてみてください。
「この度、病気療養中だった祖父が何月何日に逝去いたしました。生前は大変お世話になりました。故人の遺志により、葬儀は近親者のみで行う家族葬とすることとなりました。勝手ながらご会葬やご香典、お供花等はご辞退させていただきますようお願いいたします。」
重要なポイントは、亡くなった人の氏名と続柄、そして葬儀は家族葬で執り行われるということを明記してください。読んだ人が気を遣わないように、例文では敢えて会場の情報を省略していますが、会社の規定によっては香典等を辞退しても忌引きの証明のため式場の情報が必要である場合もあるので、その際には家族葬の会場や住所等の必要事項を記載するようにしましょう。
香典や参列を辞退したにもかかわらず、どうしても香典を渡そうとする人も中にはいます。そんな際には、かたくなに断るのは失礼にあたりますので、後日に香典のお返しを用意して送るようにしましょう。大体の目安は、いただいた金額の3分の1から半額程度となります。
送る時期は49日の法要から2週間以内に届くように手配するようにしてください。その際に無事に49日の法要を終えられたことを伝え、お礼状とします。香典返しの品物が決まらないという際には、カタログギフトを贈って先方の好きなものを選んでもらうという方法も最近では増えています。
また、弔電をいただいた場合は後日にお礼状を出すのがマナーです。お礼状ではお悔やみに対して、率直に飾らない言葉でお礼を述べると良いでしょう。特に例文等を参考にしなくとも、相手の関係によって、自分の言葉で丁寧に書き綴ることで相手に気持ちが伝わるはずです。