「家族葬」と「一般葬」の特徴
近年少人数家族が多く、高齢化の影響で退職後の年月が伸びたせいか、葬儀に声をかける対象者が減り、家族を中心に少人数で見送るケースが増えたそうです。
私の義父が亡くなった時、突然の死に義母は気が動転して誰に声をかけていいのか判断できず、オロオロ。
義父は元会社員でしたが、退職して20年余経っていましたし、兄弟や友人知人も高齢者。会社の元同僚は年賀状程度しかお付き合いの無い人が殆どで、遠方の友人知人も同様。そんなわけで一人息子である私の夫と義母の判断で「家族葬」にすることにしました。
ところで、この一年前に私の実父が亡くなったのですが、定年退職後も嘱託職員として同じ会社で働いていたため、退職して5年という微妙な年月だったこともあり「一般葬」を選びました。
義父の「家族葬」ではおよそ30人余。
実父の「一般葬」ではおよそ130人余。
(この二人は75才と80才と年齢も近く、共に都内在住でした)
単純に考えて、実父の葬儀の方が莫大な金額がかかったと思われそうですが・・・私が知る限り、今回のケースでは一般葬の方が家族の精神的・経済的負担が少なかったのです。ですから、単純に「小規模にすれば負担は少ない」と結論づけられないのだとわかりました。
★葬儀で一番お金がかかるもの
参列者への「通夜振る舞い」や「返礼品」以外で一番お金がかかるのは祭壇です。
身内だけで行うとなると、供花は「親戚一同」「兄弟姉妹一同」に限られますが、兄弟がいなかったりすると佗しさが目立ち、急遽追加すると費用もかさみます。その上人数が少ない分、お香典の総額も少ないので、この費用は結構負担です。
一方、広く訃報を知らせた場合は供花も増えるので、自前の祭壇は小さくて済みます。
★通夜振る舞いと返礼品
通夜といえば、時間的に仕事帰りや仕事の途中で駆けつける人が多いので、ゆっくり通夜振る舞いを食べる時間もなく帰られる方が少なくありません。だいたい会葬者の5〜6割程度の用意で十分とされています。そして、この食事の単価は家族葬と一般葬では大きな差はないようです(そもそも、予算を下げ過ぎると少々みすぼらしい印象を与えてしまいますので、要注意です)。
一般葬では人数が多い分だけ出費もかかる印象ですが、実はお香典の収入も多いので、差し引きすると、意外と家族葬よりも負担が少ないことにも驚きました。
即日返しの香典返礼なども、頂いた金額と同額にする必要はありませんので、こちらも差し引きすると家族葬よりも負担は少なく、収入が多めという印象です。
★その他の負担について
とはいえ、家族葬では参列者の人数が多いため家族も接客に追われますし、会社(あるいは町内会など)の人に香典の受付などをお願いする必要もあります。
そして、一般葬ではさほど親しくない人もいらっしゃるので、儀礼的な印象を受ける場合もあります。家族葬なら、ごく親しい人と比較的ゆっくり故人とのお別れができるという面もあります。
一般葬では、参列者のお焼香の都度、喪主や親族が頭を下げなければなりませんが、それも葬儀の時間内だけです。ところが、家族葬では後々訃報を知った人からの個々の連絡や弔問に追われることが多いのです。
夫の実家では、私たちが滞在中の一週間はもちろん、家族葬を終えた数ヶ月先まで断続的な対応に追われ、いつまでも落ち着かない日々が続いたようです。「こんなことなら一般葬にしておけばよかった・・・」と義母が愚痴を言うのを何度も聞きました。
身内の一人として、家族葬と一般葬の両方を経験した私ですが、どちらの選択がいいのか一概には言えません。もし自分や自分の夫が亡くなった時・・・と考えても、その時の年齢や環境、立場によって状況も変わってきます。できれば、年代や立場の変化に応じて、日頃から自分の希望する葬儀の形を家族と話し合っておいたほうがよさそうです。「その時」はいつ来るかもしれず、何十年先かもしれないし明日かもしれないので。