臓器提供にまつわる豆知識
臓器提供とは、脳死あるいは心停止後に臓器を他人に提供することであり、献体とは、遺体を大学の解剖実習などに提供することです。ここでは、それらにまつわる豆知識をご紹介します。
臓器提供にまつわる豆知識
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法律改正された臓器提供
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脳死と心停止で提供することができる臓器
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献体の際の葬儀について
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遺体の提供には家族の同意が不可欠
★法律改正された臓器提供
献体は、生前に本人と家族の同意が必要なのですが、臓器提供に関しては、本人の意思がなくても死後に家族の承諾があれば可能となっています。そして、臓器提供した場合には、普通に亡くなった場合と同じように通夜・葬儀を行うことができるのですが、献体する場合には葬儀のやり方は3通りの方法が決められています。 そもそも臓器提供とは、脳死あるいは心停止した後に、臓器を他人に提供するということです。平成22年に法律が改正されるまでは、本人の意思がなければ提供することができませんでした。しかし、法律が改正されてからは、本人の希望の有無にかかわらず、家族の承諾が得られれば提供できるようになりました。 さらに、改正された法律では、15歳未満であっても脳死後に臓器の提供が可能となりました。ドナーカード(臓器提供意思表示カード)は、市役所や保健所、ハローワーク、警察署などで入手することができます。
★脳死と心停止で提供することができる臓器
ドナーカード以外でも、運転免許証や健康保険証の裏面にも、臓器の提供に関する意思を表示することができるようになっています。自分の臓器を提供したいかしたくないかを、生前に周囲に意思表示しておくことをおすすめします。そうしておくことによって、万が一の場合には遺族が故人の意思を尊重することができるからです。 臓器の移植に関する法律が存在しており、脳死と心停止の場合では提供することができる臓器は異なります。脳死後に提供することができるのは、心臓・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸・眼球となっており、心停止の場合には、腎臓・膵臓・眼球を提供することができます。 臓器が提供された後の遺体は、臓器が取り出されたことによってくぼんだ部分には詰め物が入れられ、傷口を縫合してから遺族のもとへ遺体が返されます。ゆえに、亡くなった時と見た目にはわからない状態で戻ってきます。また、眼球を提供した場合には、義眼が入れられて戻ってきます。
★献体の際の葬儀について
献体とは、遺体を大学の医大生の解剖実習などに提供することです。遺体は解剖実習の後に、火葬されて遺族のもとに戻ってきます。火葬費用については、大学側の負担となっています。ただし、遺体が戻ってくるまでには、1年から最長で3年以上の期間を要します。献体された後、遺体には防腐処理が施されるのですが、防腐処理に半年かかり、解剖実習は1年~3年以上の期間がかかります。 前述しましたように、献体の葬儀には3つのパターンが存在しています。いずれの場合も火葬費用や遺体の移送は、大学側の負担となります。3つのパターンについては、葬儀後に遺体を提供する・葬儀前に遺体を提供し、遺体なしで葬儀を行う・遺体が戻ってきてから葬儀を行うという3つとなります。遺体が戻ってから葬儀を行うパターンを希望される場合には、3年以上経過した後ということもあり得ます。それ以外であれば、亡くなってからすぐの葬儀が可能となります。
★遺体の提供には家族の同意が不可欠
遺体を大学に提供する場合には、家族の同意のもとに、生前に大学や協会に登録する必要があります。登録時には、配偶者・親・子・兄弟・姉妹など、2親等以内の家族の同意が必要となります。本人が希望していても、本人の死後に遺族が1人でも反対する場合には、遺体を大学へ提供することはできないきまりとなっています。 前述しましたように、葬儀後に遺体を提供するパターンも存在していますが、遺体の腐敗が進むため、葬儀前に遺体を提供して、遺体なしで葬儀を行うケースも多いというのが実際のところです。登録者数はここ20年で倍増しており、社会的な認知度も上昇傾向にあります。 大学での解剖学の実習は、医師を養成する過程おいては重要な基礎として位置づけられています。実際に提供された人体にメスを入れて解剖することによって、医師としての精神性を育てることもできますし、人体の構造を知り解剖の知識を得るためには解剖学の実習は必要不可欠なものです。