火葬場からご遺骨をお迎えする「還骨勤行」という儀式が終了すると、「精進落とし」を執り行います。 昔は、不幸のあった家では死後四十九日までを忌中とし、その期間中は肉や魚などを口にしないで、精進料理で過ごしていたそうです。四十九日が過ぎ、忌明けとなってからやっと通常の食事に戻ることが出来たといいます。
これを「精進落とし」と呼んでいました。お斎(おとき、おとぎ)、精進明け、精進上げとも言います。
しかし現代では、四十九日間も肉や魚を口にしないというのはまず無理だと思います。その上、お通夜の振る舞いでもお寿司や肉類を出すことがほとんどです。
現在の精進落としは、遺族や親族が火葬場から帰って還骨勤行を行い、葬儀がすべて終了した時点で行っていますので、本来の四十九日より短くなっていますし、意味合いも変わってきているようです。
では、現在の精進落としはどのように変わったのでしょうか?
現在の精進落としは葬儀の当日、僧侶をはじめ葬儀でお世話になった方たちの労をねぎらっておもてなしをするものです。会食の席は喪家が用意し、世話役やお手伝いの人に余計な手間や面倒をかけないように配慮しなくてはなりません。そのため、お料理は仕出し屋などを利用する方が多いようです。
時代とライフスタイルの変化に伴って、精進落としの意味合いや形が少しずつ変わってきたのでしょう。今日では、お肉やお魚を食べないということにこだわる必要もなくなりました。一番大切なのは供養する気持ちと、感謝の気持ちなのです。