香典返しは、忌明けから1ヶ月以内に贈るのがマナーです。お茶やお菓子、洗剤などを贈るケースが多いですが、最近ではカタログギフトがよく用いられるようになってきています。
ちなみに、いただいた
香典の2分の1から3分の1程度の価格の品物を贈るのが一般的です。
そもそも香典返しとは何なのか
歴史的に見ると、日本がいわゆる豊かな国になったのは、近代に入ってからのことです。
明治政府が富国強兵策をとり、海外から新しい技術や知識が盛んに導入されました。
その後、紆余曲折を経て現在のような豊かな国になったわけですが、明治維新以前は第一次産業中心のとても貧しい国でした。
もちろん、一部の特権階級は贅沢な暮らしをしていましたが、大多数を占める一般庶民は爪に火を点すような貧しい生活を送っていました。
そのため、誰かが亡くなっても家族だけでは葬儀を出すことができず、近所の人や親戚がある物を持ち寄って野辺送りをするというやり方が一般的になっていました。
時代が下り、近所の人や親戚から物をもらわなくても葬式を出せるようになりましたが、相互扶助の精神が香典や供物という形になって現在に伝えられています。
今では、
大切な人を失って悲しみにくれる遺族を力づけるという意味合いで香典が贈られていますが、それに
対するお礼として遺族が贈り返すのが香典返しです。
いつ頃贈ればよいのか
香典返しをいつまでに贈ればよいのかと悩む人が少なくありませんが、いつまでに贈らなくてはならないという明確な決まりがあるわけではありません。
また、宗教による違いもあるため、一概には言えない部分があります。
ただし、無事に葬儀を終えることができたという感謝の気持ちを込めて贈る物ですので、「忌が明けてから」贈るのが一般的です。
また、
忌明けから1ヶ月以内を目処にして贈るのがマナーになっています。
仏教の場合は、四十九日法要を終えたところで、供物や香典をくださった方全員に対し香典返しを贈ります。
品物を持参して直接お礼を述べるのが正しいマナーですが、現実的にはなかなかそうすることができません。そのため、お礼状と共に品物を配送しても、失礼にはあたらないということになっています。
また、
神式の場合は五十日祭、キリスト教の場合は30日目の追悼ミサもしくは1ヶ月後の召天記念会をもって忌明けとなります。
厳密に言うと、キリスト教には香典返しという習慣がありませんが、近年では
お花料をくださった方にお礼の品を贈るのが一般的になってきています。
どのような品物を贈ればよいのか
不祝儀のお礼として贈る品物ですので、縁起を担いで、後に残らない物を選ぶ人が多いです。
具体的にいうと、
お茶や洗剤、石鹸、お菓子などです。また、実用品の
タオルや寝具もよく利用されています。
ただし、必ずしも受け取る人の好みに合う物が贈れるとは限らないため、近年では
カタログギフトを使う人が増えてきています。
様々な種類のカタログギフトがあるため、とても多くの人が利用しています。
ちなみに、お礼の品の
価格相場は、いただいた香典の2分の1から3分の1程度と言われています。
ただし、親族などから
高額の香典をいただいた場合の相場は3分の1から4分の1程度と少なめになっています。
なぜかというと、その場合は身内からの葬儀費用扶助といった意味合いが濃くなるため、お礼は少なめでよいと考えられるからです。
また、品物にはのし紙をかけますが、内のしにするか外のしにするかは、地域によって異なっています。
会社や辞退者への対応はどうすればよいのか
勤務先の会社から香典をいただくケースがしばしばあります。会社からの香典は儀礼的なものなのでお返しをする必要はないという考え方もありますが、臨機応変な対応をとるのが望ましいです。個別にきっちりと半返しするのが当たり前になっている会社ならば、それにしたがっておくのが賢明です。
逆にお返しする習慣がない場合は、何もしないでおくのが無難です。どうすればよいのか判断に迷う場合は、職場のみんなに食べてもらえるお菓子を贈っておくとよいです。
一方、香典返しを辞退する方がいた場合の対応ですが、
辞退された方に対してもお礼の品を贈っておくという人が大半です。なぜかというと、金銭的にどうこうという問題以前に、貴重な時間を割いて葬儀に参列してくれたことに対してお礼をしたいと考えるのは、遺族とすればごく当然のことだからです。なお、絶対にお返しはいらないと固辞される場合はありがたく頂戴しておいてかまいません。ただし、その場合も
お礼状だけは送っておいた方がよいです。