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現代の社会では、簡素なお葬式を希望する人が増えています。自分の最期は愛する人に囲まれて旅立ちたいと希望する人も多いのです。
　故人の遺志を尊重して、多くの遺族が家族葬を執り行っています。また、故人と親しくしていた人のために、後日のお別れ会を催すことも一般的になってきました。


家族葬の場合、香典、参列希望者をどうするか


　現在、お葬式は二極化する傾向があります。著名人などは、生前の功績に見合った豪華なお葬式を挙げるケースが多くなっています。
　一方、多くの人が簡素なお葬式を望む傾向も強まっています。
　その風潮は、社会的地位のある人や有名人の間でも広まっています。原始の社会において、冠婚葬祭の機会は地域社会の人々への振舞いの機会でもありました。
　そのため、見ず知らずの人のお葬式に参列することも一般的であったといいます。お葬式を豪華に執り行うのは、その名残とも言われています。
　しかし、現代社会になって、衣食住が充実してくると、その必要性も薄れてきました。
　施しを必要としない社会では、自身の葬儀に有象無象の群衆が押し寄せることを嫌う人も出てきました。そのような考え方が広まり、家族葬や簡素なお葬式を希望する人が多くなってきたのです。



　最近では、著名な人であっても、家族葬を希望する人が増えています。新聞の訃報欄でも、親族のみによる葬儀という文言が多く見受けられます。
　この傾向は、社会全体が簡素なお葬式を挙げる方向に向かっていることを示しています。この簡素なお葬式については、ちょっと考えると楽に思えますが、また別の苦労もあります。家族だけで執り行う葬儀の筈が、参列者となる人が押しかけては、収集がつかなくなることも考えられます。
　簡素なお葬式には受付も置いていないので、余計面倒になることは目に見えています。簡素なお葬式を挙げたいと思ったら、自宅以外の会場を用意するべきです。参列者が少なくても、お別れの場はしっかりと用意できます。親族だけ、或いは親族と数人の親しい友人に囲まれて、故人を偲ぶ場が亡き人に寄り添う姿勢という考えが一般化しつつあります。



　日本では、簡素なお葬式は、故人への礼儀に反すると考える人が数多く存在します。故人の遺志に従って家族葬を執り行う場に、参列希望者が香典を持って押し寄せるというケースが多々あるといいます。そのようなことを防ぐためにも、生前に親交のあった人には、十分な説明をすることが必要となります。
　簡素なお葬式は故人の遺志によるもの、香典の辞退も故人が生前からきめていたこと等、しっかり伝えておくことが大事です。簡素なお葬式が、故人の遺志によるものであれば、誰も文句が言えなくなります。最近では、自分の葬儀は家族葬の形で執り行うことを公言している人も多いといいます。
　自分の葬儀に自分の意見が反映できること、この考えも民主主義の考え方に沿っていると考えるのも自然なことです。お葬式は公の行事ではなく、家族の絆によって行われるのです。



　簡素なお葬式を挙げたケースでは、後日、お別れ会を開くという方法があります。お葬式は家族が挙げても、お別れ会は家族以外が執り行っても申し分ありません。
　故人を悼む人が大勢いる場合、この形式が定着してきました。お葬式ではないので、香典は辞退できます。この形式にすれば、故人の遺志も周囲の人の気持ちも両方尊重することができます。有象無象が集まる葬儀と違って、お別れ会の集まりは、故人を大切に思っている人が来てくれます。
　お別れ会の進行や受付は、遺族以外が担当する方が望ましい場合もあります。故人を良く知る友人や仕事仲間など、故人を本当の意味で慕ってくれた人が中心になってくれると、お別れ会もしめやかな雰囲気の中に盛り上がりを見せることが多々あります。お別れ会を行うことで、故人を取り巻く人の絆が深まる意味もあるのです。